つき
月ほど多くの名を持つものはないの
ではと思うほど、四季折々に洗練さ
れた美しい名があります。
残存する日本最古の物語『竹取物語』
も、月の世界を創造した文学ですから、
いにしえの人びとが月を崇めながら
暮らしてきたことがよくわかります。
また月の存在は、私たちにとってじつ
に身近です。それは五臓六腑それぞれ
の漢字を見れば納得。三焦を除いて
すべてに「月」がついていますから、
それだけ月と人間との密接な関係を
示していることがわかります。
そのほかにも「付き」「着き」「就き」
「尽き」「ツキがある」という言葉も。
今日は中秋の名月。
いにしえの人々が残した漢字や言葉には
月からの肝腎なメッセージが隠されて
いると気がつきます。
月ごとに見る月なれどこの月の
今宵の月に似る月ぞなき
天暦のころの御歌