みる
秋高し。
どこまでも澄みわたる青い空、そこに
浮かぶ白い雲、季節の移りかわりは往々
にして心ゆさぶられます。日の光は透明
で遠くまでよく見えます。
書道では、法帖やお手本をまずよく見て
書くことを繰り返しますが、このよく見
るというのは、なかなか容易なことでは
ないのです。
「「よく見る」そのことばの裏には、
外面をきちんと見て書くことによって、
ものの成り立ちや、ものの本質を明らか
にするという思想がひそんでいるわけ
だから、これはひどくむずかしい。」
今年お亡くなりになられた、詩人の
大岡信さんのご著書にありました。
また、「「見る」という観念だけにとら
われてしまって、外観だけをとらえること
に窮屈になっていることが多いようにも
思われる。大切なのは、どのように書き
だすか、そのきっかけをつかむこと」
ともありました。
1日に何度となく見る空。
空や雲から秋をみて自分をみる。
そして書きだしてみる。