獅子
教室を始める前、なにかと相談にのって
くださった先生に、先日10年ぶりにお会
いしました。
「今のあなたは獅子のステージだね」と、
ニーチェの『ツァラトゥストラはかく語
りき』の超人思想の概念に置き換えてい
ろいろを話してくださいました。
ニーチェというと、永劫回帰と超人思想。
人間の精神には3つのステップがある、と
する超人思想の2つ目のステップが獅子。
先生は、「窮屈な状態から解放され、独立
の精神を持ちあわせた、自由を求めるもの
が進むステージ」それが今の私であると。
そして3つ目の幼子のように、
「自らの創造力に身をゆだね、自由に心の
ままに遊び、無邪気に、今この瞬間を楽し
める最終ステージへと進みなさい」と。
3つのプロセスを経たとき人間は、積極的
に生を肯定することをその身に宿すのだと。
先生は以前と変わらず、飾らない口調で話
してくださっているあいだ、私の頭のなか
には、R.シュトラウスの交響詩『ツァラト
ゥストラはかく語りき』が鮮やかに頭のな
かを流れていまして…。笑
もとい。
そのような最終ステージへと進み、潔く生
きた人といえば、故 篠田桃紅さん。
その生き方に魅了され、展覧会があれば必
ず訪れていますが、ちょうど今、東京オペ
ラシティアートギャラリーで開催中です。
いただいた招待状があり出かけてきました。
自由に心のままに筆をはしらせ、今の瞬間
を筆と墨に託したえもいわれぬ線質や墨色、
静けさとそこに内包された動くものとに、
獅子ステージの?!私の心にも、いろいろ
を与え示していただきました。