寒の内
大寒を迎え一年のなかで最も寒いころ。
心より寒中のお見舞いを申し上げます。
このような季節は、あたたかくして、
ゆっくり書を楽しむのにいいとき。
創作もおもしろいけれど、その土台と
なる古典臨書もおもしろくて、ずっと
欠かすことなくつづけています。
古典かなと漢字、両方の学びを深めた
いため、法帖はいつも2冊を同時進行。
さっそく今年は『元永本古今集』をは
じめています。ひきしまった美しい線、
変化に富んだ気品ある表現、奥深い筆
使いに魅了されて、とにかく楽しい!
まずは、原寸を拡大した大字で基本を
練習します。いきなり原寸の小字から
書かないのは、大きくすることで、点、
線、形をよく見つめ、用筆法を確かに
するため。
これは古典かなに限らず漢字も同様で、
大字から始めて小字に移る方が理解が
正確であるとし、この順で臨書します。
いろいろが早く便利をよしとする現代、
すぐに結果や多くを求めたくなるけれ
ど、そうではないものを選択するって、
安易な方向に流されることない人間性、
生活感としてあらわれるのではないで
しょうか。
また、自らの手を動かして書くことで、
見ること、感じること、考えることへ
の領域も広がってゆくと思っています。
あらためて、書のおもしろさを多くの
人に伝えてゆくと心に誓う寒の内です。