水のごとく
今月の5、6年生の硬筆課題は、
「君子の交わりは淡くして水の如し」
徳の高い人の交わりというものは淡く水のよう
であるがゆえに、いつまでも変じることがない
という、『荘子 山木』からの一節です。
このあとに続くのは、
「小人の交わりは甘きこと醴の如し」
度量や品性に欠けている人の交わりは、濃く
甘い酒のようであるがゆえに、同じ状態では
いられず変じてしまうというもの。
人との交わりの在りようを水と甘酒で示し、
説いています。
夏休みは、まとまった休暇がとれますので、
故郷に帰省される方も多いと思います。
そこでは、いつもとは違った懐かしい顔ぶれ
との、心身の休まる交わりがあるはず。
そしてそこには、常に言葉があります。
故郷に、旅行に、
「いってきます」「いってらっしゃい」
この言葉には、
「行って」+「帰ってきます」
「行って」+「帰っていらっしゃい」
「また帰ってきます」
「また帰っていらっしゃい」
という、互いの思いや願いが込められていて、
あらためて日本語のつつしみ深さを感じます。
故郷でなくとも、仕事で家を出かけ、帰る。
学生生活や転勤などで家を出て、帰る。
行って帰る、そのあいだには、いくつもの言葉が
あって交わりがある。それがあるからこそ、人は
さまざまなことに気づき、考え、前へ進む力と
なり成長となるのだと思います。
言葉はつつしみ深く、交わりは淡く。
君子のように。水のように。
そのように、子どもたちには成長してほしい。
もちろん大人だって、し続けたい。