禅
木々はみずみずしい葉をのばす頃。
大人の書道の基本といえば古典臨書。
教室では、『九成宮醴泉銘』から始
まり、『蘭亭序』『風信帖』『雁塔
聖教序』『書譜』『曹全碑』『篆書
白氏草堂記六屏』と進み、黄庭堅の
『松風閣詩巻』を臨書する生徒もい
ます。
黄庭堅は宋の四大家の1人で、特徴あ
る力強い書法は、日本の書に大きな
影響を与えたといわれています。
また、30代後半に参禅した黄庭堅は、
飲酒、肉食、淫欲を断ち、自己を厳
しく律し修練に努めた姿勢は、日本
禅僧にも強い影響を及ぼしたそう。
唐末五代の混乱を経た北宋の時代、
度重なる左遷にあったとしても屈強
な精神力で、俗気を脱する高潔な志
しは、黄庭堅の書風の形成となった
ことがうかがえます。
禅は、日本でも栄西や道元、中国か
らの禅僧により伝えられ、鎌倉時代
後期から室町時代にかけて、朝廷や
武家を中心に流行したのだそう。
そして、さまざまな形で芸術や芸能
と結びつき、特に茶道と深く関わり、
茶席の床には、禅僧が書いた墨蹟が
掛けられるようになりました。
宗教としてだけでなく、日本の文化
の形成に欠かすことのできない要素
をもつ禅。
そのように影響力のある禅ですが、
先日の母の日に、娘と表参道にある
Mr.FARMERで注文したブッダボウル
もそのひとつ。
ボウルの中に穀物や野菜などを一緒
に入れたベジ丼。数年前にアメリカ
で流行したのだそう。ベジタリアン
の概念を精進料理、そして禅と関連
づけたようです。