春風
駘蕩たる春の日。
桜が美しく咲いた今週は、私の教室にも
中学校や小学校へ入学する生徒がいます。
教室では、中学生になると毛筆、硬筆とも
に行書を学びます。特に毛筆は、今までの
楷書と用筆法や運筆法など書法に違いが
あるので、やりがいがあります。
今月の硬筆課題は、
久方の光のどけき春の日に
しづこころなく花の散るらむ 紀友則
春の日のゆったりとした気分と、それに相反
して散る桜とを対比していて、「の」音を
重ねた響きが心地よく愛唱しやすい一首です。
それにしても、日本語には和歌にかぎらず
「五音」と「七音」の繰り返しの音律が多い
ことに気づきます。それは、『古事記』や
『万葉集』にまで遡ることのできる歴史が
ありますが、この音数律が、日本人の頭の中
に自然と染み込んでいるように思います。
ならば今月は、春風のように心地よく詠うよう
に書きたいものです。