淡い
先週末に雪が降り、寒さは一段ときびし
さを加えもしますが、そのなかでも淡い
春色の梅花がほころび始めています。
今、国立新美術館では『選抜作家展』が
会期を迎えています。
今年は、李白「贈汪倫」を淡い緑色の染
め紙に淡墨で書いて出品しています。
李白が涇縣の桃花潭に遊んだのち、舟に
乗り今まさに出発しようとしたそのとき、
岸辺から足を踏みならし歌う聲が聞こえ
てくる。 それは李白を見送るため、汪倫
が村人を集めてわざわざ来てくれたのだ
った。 桃花潭の水の深さは千尺というけ
れど、汪倫の情義の深さに比べれば到底
及ばない。
という、李白が汪倫の情義の深さに心打
たれ詠んだ詩です。のちにこれを汪倫に
贈り、たいそう喜んだ汪倫は、家宝とし
て代々伝えたのだそう。
おおらかで変化に富み、自然を豊かに力
づよく詠んだ李白の詩。その奔放で自由
な人柄を思いながらゆったりと楽しんで
書きました。
会期は2月19日(日)まで。
よろしければぜひお出かけください。
余寒のなかに淡い春色との出会いもある
のではないでしょうか。