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ゆっくりとした1月のすべりだしも、そろ
そろ進み具合を速めたように感じるころ。

自宅や教室の掛暦も2月へとめくる季。
毎年教室で掛けているのは、白川静先生の
『漢字暦』。古代文字から篆書そして活字
へと進化した漢字の変容とその成り立ち、
表記上や表現上の特性が記されていて、子
どもたちも興味をもって見てくれます。

漢字の特性は、その背後にある過去の文化、
歴史を知る上で大事な紐帯となるもの。
ただ、現代の生活では想像することさえ難
しいことも多くありますが、漢字を真に理
解し書くことは、間違いなく活力を得るこ
とへとつながると思うのです。

例えば今月の中学生の毛筆課題「時和氣清」
にある「氣」。常用漢字やそれを習う書写
では「気」と書きますが、書道では「メ」
ではなく「米」。

このように制限を加えた漢字は、ほかにも
たくさんありますが、なぜそれをしなけれ
ばならなかったのか、そこに氣がつくのも
書道をしているからこそ。

書道は、書写体または異体字として、その
特性をそのままに発揮させた字体を残し書
いている世界。それらを書くたび、あらた
めて、漢字が持つ力の大きさと、それらが
さし示す重要性とを感じざるおえません。

そして『漢字暦』を見るたび、生涯を漢字
研究に全力を注がれた白川先生の圧倒的な
功績を思い、ただただ感銘するばかりです。

「世も変わり、時代の風尚も異なって、今
では私の試みたような学問領域に遊ぶ人は
意外に少ないようである。東洋の問題を考
え、わが国の将来の文化、また国語の将来
を考える上に、この学問領域はことに重要
な分野であるはずである。歴史的な立場か
らみると、今のわが国のありかたは、極め
て変則的なものである。東洋の文化の淵源
をさぐり、その展開をあとづけ、その歴史
的な必然を求め、これを実現化する方法を
考えなければならない。漢字は、その重要
な紐帯の役割を荷なうものであった」 
  白川静「私の履歴書」より

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