ひとつの こと
気持ちのいい朝。
今期の宛名書き、記念品への名入れが完了
しました。名入れは、かれこれ今年で7年、
宛名書きは10年目になるでしょうか。
新しい門出を祝い手渡される記念品の名入れ、
また宛名書きも、それを手にした方の思いを
想像し、緊張感を持ちながら、ひとつひとつ
を心して書かせていただいています。
3月から4月は、ひとつのことが終わり、新た
なひとつが始まります。そこには、言い尽く
せないそれぞれの思いもあるでしょう。
桜が花開くのはこれからだけれど、ふいに
思い出した詩があります。平易なことばで
つくられているのに、不思議なほどおおきな
世界が広がって、
「もう、むつかしい言葉はいらないのだよ。
もっと大切なものがあるでしょう」
と教えられます。
『さくらの はなびら』
えだを はなれて
ひとひら
さくらの はなびらが
じめんに たどりついた
いま おわったのだ
そして はじまったのだ
ひとつの ことが
さくらに とって
いや ちきゅうに とって
うちゅうに とって
あたりまえすぎる
ひとつの ことが
かけがえのない
ひとつの ことが
まど・みちお 詩集より