自然に自在に
春の訪れは第一に梅に来て。
春到梅辺 (春は梅辺にいたる)
向かいのお宅の庭では、赤いつぼみをふくら
ませ、春遠からじと知らせてくれているよう。
日脚も日一日とのびてきました。
南向きの教室では、奥まで差し込んでいた日
の光も、徐々に窓の外へと退いています。
今週の教室は、日中の大人クラスのみ。
月末は、来月の課題の手本書きや硬筆ノート、
資料の準備をしたり、自分の作品書き、臨書
をしたりしています。
書は、あくまで筆を用いた動作による仕事、
わずかな時間でも、これを怠らないようにし
ています。
なかでも大事にしたいのは、臨書の時間。
ちょうど今は、米芾「蜀素帖」を臨書中です。
数年前には「張季明帖」「徳忱帖」などを書き
ましたが、そのたびに、米芾がいかに筆を使い
こなしたかを実感します。文字の姿態の数々が
気負いなく、一連の運筆の調子によって自然に
形づくられていて、いつ書いても発見があり、
高い技巧を必要とされます。
米芾の書技の自在さを、臨書を重ねながら会得
できるよう、地道に学びたいと思います。