落し文
今日いただいた和菓子の銘 『落し文』。
夏の季語です。
落し文とは、
江戸時代、恋文などを相手にひそかに渡すために
庭などにそっと落としたり、公然とは言えないこ
とを匿名の文書にして路上などに落としたりした
もので、当時は巻物に書かれていたそうです。
オトシブミ科の甲虫は、栗、クヌギ、ナラなどの
広葉樹の葉をクルクルと上手に巻いて巣を作り、
その中に卵を産みつけて、地上に落とします。
この地上に落ちた筒状の巻き葉が、手紙の巻物に
似ていることからそう名づけられたそうです。
また、鴬や時鳥が落としたものと見立てて、
『鴬の落し文』、『時鳥の落し文』とも。
なんとも風流です。
そして抹茶で一服。
総合芸術である茶道の歴史や文化も、日本の穏や
かな国柄とその精神性から生まれてきています。
ときにはこのような時間を大切にし、あわただし
い日常のなか、いつも落ち着いて物事に応じられ
る心を養っていたいです。
鶴屋吉信 製:『落し文』