深き底
折々の雨に、梅雨の始まりを感じる頃。
今日の教室は休みでしたので、朝から一日ずっと
心置きなく書いていました。
先日『東寺展』で鑑賞してきた、空海「風信帖」
をずっと。久しぶりの「風信帖」の臨書に熱中し
すぎて、電話の音や、インターホンの音も聞こえ
ないほど…。いや、聞こえても筆を止められず…
やりすごすと決め込んで、(こちらの勝手で、
ごめんあそばせ〜)などと書いてはいたものの、
午後3時ごろに鳴ったインターホンはしつこくて、
諦めずに何度も鳴らすわけです。
で、しぶしぶ出てみると、朝日新聞の記者。
昨日、登戸で起きた事件の被害者は、近所に住む
女児でしたので、私の教室に通っていなかったか
とのことでした。もし教室の生徒だったら、ずっ
と書いてなどいられなかったでしょう。
あまりにも惨憺たる事件に言葉を失います。
残されたご家族の心情を想うと、胸が痛みます。
わが心 深き底あり よろこびも
うれひのなみも とどかじとおもふ
西田幾多郎