筆
桜花の盛りはつかのまですが、こぼれた花びら
にさえ風情が感じられます。
北広島で農家を営む友人のゆりえさんから、
桜の花はこれからだけど、土手の草の間から
ようやく顔をのぞかせたからと、土筆が送ら
れてきました。
姿が筆に似てるから土筆、あるいは筆の花とも
言われますが、中国では筆頭菜と書きます。
カルシウムが多く含まれているので、さっと
ゆがいて天日で干し、ふりかけ にしました。
文房四宝のひとつである筆ですが、使い手の需要
に応じて変容してきた歴史があります。古くは
巻筆だったものから水筆へと変わり、それに伴い
書風も変化を遂げてきました。そのなかで、中国
では湖筆、日本では熊野筆が広く知られます。
「弘法筆を択ばず」
このことわざで、空海が能書家だったことを知っ
た人もいるようですが、どのような筆でも達者に
書き得る力量があるという意味。
ただ、空海の真跡からは、良筆を使っていたこと
は明らか。どんな筆でもいいと言うことはやはり
ないということがわかります。
ちょうど上野国立博物館では、
『特別展 国宝 東寺〜空海と仏像曼陀羅〜』
が開催されています。
空海の真筆「風信帖」公開中。