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KEISUI 大人と子どものための書道教室

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初心

東京書作展の会期が終わり、教室の生徒
数名が出かけてきたことを報告してくれ
ました。それぞれが楽しんでくださった
ようで、またそれぞれの楽しみ方があっ
て、うれしく話を聞かせてもらいました。

そのなかのお一人、私の教室では最年長
でいらっしゃいますが、いつお会いして
も華やかでお洒落で、気品と潔さを持ち
合わせたSさん。今年は、病気や手術、
骨折などがつづきながらも教室へお越し
くださるそのお姿に勇気をいただくばか
りですが、Sさんの書作展へお出かけく
ださった帰りの話がおもしろい。

まずは上野へ出かけたときのお楽しみ、
20代のころから通っておられたという、
とんかつの名店『ぽん多』でランチをし、
だいたいの帰路方向であろう路線バスを
みつけて、ひとまず池袋行きに乗ってみ
ると、東大農学部前、本郷、小石川の辺
りを通るバスだったとのことで、ずっと
気になっていた場所でもあったらしくて、
そして思いがけず、なかなか情緒のある
景色が見られ大満足の一日だったそう。

車が好きで、運転も好きで一人でどこへ
でも車で出かけていたけれど、今年はい
ろいろがつづいて、、、でも路線バスと
いうあらたな楽しみを見つけたと明るく
イキイキとお話しくださる姿勢に、人生
をポジティブに好奇心をもって謳歌して
ゆこうとする覚悟をも感じ入ると同時に
思いうかんだのはこの言葉。

 「初心忘るべからず」

児童生徒の昇段試験、硬筆初段の課題で
もありますが、「ものごとを始めたとき
の初々しい気持ちを忘れてはいけない」
という意味が一般に定着しています。
能を大成した観阿弥と世阿弥が残した
言葉ですが、本来はもっと深く高い精神
性を含んだ意味があるのです。

「初」は衣偏に刀。衣(生地)を刀(鋏)
で裁つという、まっさらな生地に初めて
鋏を入れることを示します。
「人間は、折あるごとに古い自己を裁ち
切り、あらたな自己として生まれ変わら
なければならない。そのことを忘れては
いけない」と。

移ろう季節のように、私たち人間も絶え
ず変化しています。迷うこと、受け入れ
たくないこともあるのが現実ですが、そ
れを受容し、認め、裁ち切り、あらたな
ものに変えてゆこうとする勇気こそが、
自己の初心というのだろうと思います。

と、これを小・中学生に伝えてもピンと
こないかもですが。笑

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