廓然


秋を代表する花といえば菊。
ちょうど食用菊が出回ったり、和菓子の意匠
として見かけたり、旧暦9月にあたる今月は、
菊月、菊咲月、菊の秋ともよばれることがわ
かります。
我が家の龍脳菊も、さわやかな風に吹かれ、
心地よさそうにゆれています。
菊花展での大輪菊や、園芸店で見かける中菊
も格調高いけれど、慎ましさを感じる野菊の
風情に惹かれます。
秋風に静かにゆれる野菊を見つめていると、
自分の感情や、その奥にある価値観が見え、
本当の自分を見つめ直す助けとなります。
菊月の大人部半紙課題は『廓然洞豁』。
秋の空のように、広くわだかまりのない澄みき
った心の状態を意味する四字熟語。あらゆる道
は、分かる分からない、よい悪い、できるでき
ない、などという境地を超えたところにあると
いう「無門関」平常心是道からの出典です。
深まる秋、私たちを取り巻く環境は、非常に速
いスピードで変わり続けていると感じます。
そのようななか、自分の道を正しく進むために
も、迷いない澄みきった空のように、廓然と慎
ましく咲く野菊のように、本当の自分を知るこ
とが今なにより求められているのではないでし
ょうか。
大人の部 半紙課題作品




