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KEISUI 大人と子どものための書道教室

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いろは

今年も、木犀が花の所在を知らせるよう
によい香りをはなっています。そっと静
かに深みゆく秋をつげているよう。

教室では、児童生徒に硬筆ノートの宿題
を出しています。どの学年からスタート
しても、まずは「いろはうた」の「い」
から。6マスノート1ページをひとつの音
にし、各ページに「いろはうた」47音と
「ん」を加えて私が書いた硬筆ノート。

「ひと昔まえまでは、日常生活に滲透し
て不可欠な存在であったのに、いまでは
もう、だれもかえりみなくなってしまっ
たという意味で「いろはうた」は、物置
のすみにしまいこまれた火鉢とか蚊帳に
たとえるべきものになってしまっている」
  小松英雄 著 『いろはうた』より  
       
たしかに、アルファベットに対応するた
めの日本語の平仮名表として「50音図」
が常識となり、「いろはうた」はそっと
影をひそめていますから。
そのため「ゐ」「ゑ」を見ることも、ほ
とんどなくなってしまいました。
でもそれがかえって、子どもたちにとっ
ては新鮮に感じるようですし、音の響き
や流れもいいから覚えやすいみたい。

書道では、特に古筆を学ぶうえで、欠く
ことのできない音です。
ちなみに、子音のみの「ん」は、古筆で
は「む」としての発音。
また、古筆では変体かなも使いますから、
「ん」は「む」や「も」と同じ字母をも
ちます。ですから、当時は「ん」を使う
ことはなく、のちに撥音便として表記が
なされるようになったのだと思います。


いずれにしても「いろはうた」は、日本
語表記のあり方を、そっと静かに、そし
て美しくつげ知らせてくれているように
感じるのです。

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