風
立春から数えて二百十日目にあたる頃。
昔から大荒れになるといわれるとおり
台風の多い時期。
風といえば、ちょうど今は東京国立博
物館での特別展「神護寺」で、空海筆
『風信帖』の展示があります。
「風信雲書自天翔臨」で書き出された
空海が最澄へ宛てた尺牘。
教室では『九成宮醴泉銘』『蘭亭序』
につづいて臨書します。
神護寺は高雄山寺を起源とし、唐から
帰国した空海が灌頂を行った寺院。
そのときに灌頂を受けた僧俗の名前を
列記した『灌頂暦名』は8月末までの
展示でした。灌頂とは頭から水を注ぐ
ことで、密教においては如来の五智を
象徴する水を行者の頭頂に注ぐ重要な
儀式。
また、最澄筆「御請目録」、「尺牘
(久隔帖)」の展示もあり、二大仏教
者の交流を今に伝える貴重な史料です。
それらの書には、それぞれの特徴や
技法、思想や生きた時代までもが宿っ
ていて、1200年経った今に覗き見で
きるのが書のおもしろさでもあります。